グレゴリオ聖歌の最初期の記譜史料は、「ネウマ」と呼ばれる記号を用いている。初期のネウマは、各音節(シラブル)の音高(ピッチ)の変化や長さを示すものの、各音の絶対的な音高や、各ネウマ間の相対的な音高の関係は示されていない(無音高ネウマ、アダイアステマ記譜法)。研究者の仮説では、この記譜法は手の動きによって音高を指示するカイロノミーや、ビザンティン聖歌の動機譜(エクフォネシス譜)、句読点、アクセント記号から発展したものとされる。後に、ネウマ間の相対的な音高の関係を示す音高ネウマ(ダイアステマ記譜法)が発明される。一貫した方法で相対的音高を示す方法ははじめ、11世紀前半に、フランスのアキテーヌ地方、中でもリモージュのサン・マルシャル修道院で開発された。それに対して、ドイツ語圏の多くでは、12世紀に至るまで無音高ネウマが使われ続けた。この他に、特定の音高(通常はハ音かヘ音)に一本の線を引く、線譜も発明された。また、段の最後において次の段の最初の音高を示す、カストスの記号や、テヌートを示す "t" など、アーティキュレーション、音の長さ、テンポなどを示す追加的記号も開発された。この他に、シェイカー教徒の音楽に用いられるような、異なる音高にそれぞれ文字を割り当てて記譜する記譜法も用いられていた。
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13世紀には、グレゴリオ聖歌のネウマ譜は専ら、音部記号を伴う4本の線の上に「四角ネウマ」を配して記譜されるようになった。四角ネウマでは、1音節(シラブル)の中で上昇音型を取る数音の音群は、下から上に読む、四角を積み重ねた形で記譜され、下降音型を取る音群は、左から右に読む菱形で記譜される。1音節により多くの音が含まれる場合には、このようなネウマのかたまりを続け、左から右へ読んでいく。オリスクス、クィリスマ、およびリクェセントの各ネウマは、特別な歌唱法を示しているが、具体的にどのような技法なのかははっきりしていない。変ロ音が使われる時には、変ロ音を含むネウマのかたまりの左に「軟b」がおかれる。必要な場合は、下に線の延びる「硬b」が本位ロ音を示す。現在の聖歌集は主にこの四角ネウマ譜を用いて記譜されている。